甘酒は業界ごとに味わいをパターン化できる!

甘酒と言えば、酒粕や麹から造られる発酵飲料で、昔は酒造などの醸造業やその他の大手食品メーカーから主に寒い季節に発売されていました。しかし、近年、2010年~2017年現在に掛けて、甘酒の市場は6倍にも成長し、温かい商品以外にも冷たい状態で飲める商品が急増し、季節を問わずに飲まれるように成りつつあります。まさに、現在、甘酒界は群雄割拠時代に突入してると言っても差し支えありません。

どの業界が多く甘酒を発売するようになったかと言えば、やはり発酵を生業とする醸造業が中心で、中でも、今まで麹を使った製品(酒類、味噌、醤油、酢など)を製造していた業界で増え続けています。

各業界が持っている醸造の技術は、造る発酵食品毎に大きく異なり、その様な背景から、甘酒は業界ごとに、その味わいをパターン化することができます。

今回は、各業界ごとの甘酒の味わいの違いに着目し、その特徴をお伝えしようと思っています。

なぜ、甘酒の特徴がパターン化できるのか?

甘酒は非常に原材料がシンプルな発酵食品で、米麹甘酒の場合、『米・米麹・水』だけで造られています。そして、発酵の過程で起こる現象は、『麹が作り出した酵素による原材料の消化分解』です。
つまり、甘酒の味わいは、麹が作り出した香り成分、糖類、アミノ酸、有機酸等に起因します。

そして、この麹の作り方、使う麹菌の種類、原材料の処理の仕方、設備管理等々は、各業界ごとに持っているノウハウが違うため、それが癖となって出るのは想像しやすいでしょう。例えるならテニス選手がサッカー選手並みのプレイができるか、卓球の選手が野球選手の様なプレイができるのかといったことに近く、長年培ってきた経験に基づいた癖の様なものが存在します。

麹は生物なので、種類や育て方によってその性質に大きな差が出るのです。これは、例えるのであれば、人も生活環境や人種、それぞれの才能など様々な特徴の差となって現れることと同じです。そして、人種ごとに生活している国の特色が、業界ごとの麹の差や甘酒の差であると捉えていただければわかりやすいかと思います。

 

甘酒を造っている主な業界

ではまずは甘酒を造っている業界を挙げていこうと思います。甘酒を造っている業界は大きく2グループに分けることができ、発酵を生業とする醸造業醸造業以外の他業となります。

醸造業は酒蔵(清酒、焼酎、泡盛)、味噌屋や醤油屋、麹屋、酢屋、漬物屋が挙げられ、他業は飲料メーカーや食品メーカー等が挙げられます。飲料メーカーや食品メーカーでは酒粕甘酒や濃縮タイプの甘酒が多く、甘くて癖の少ない商品が多いかと思います。

醸造業の甘酒の味わい

醸造業の中で甘酒の種類が豊富なのは、酒蔵と味噌屋・醤油屋が圧倒的です。麹屋・酢屋・漬物屋は、同じ醸造業でも甘酒を造っている企業の数はまだ多くはありません。

 

酒蔵と味噌屋・醤油屋の甘酒の特徴

酒蔵の甘酒は、香りが高く、雑味が少なめで、ストレートな甘味とコクが特徴的です。

それに対し、味噌屋・醤油屋の甘酒は、香りにやや癖があり、雑味は強くないがどっしりとした強いコクと甘味が特徴的です。

 

全てがこの通りではなく、ある程度のブレが存在し、そしてそのブレから美味しい商品とイマイチな商品とに別れます。

この美味しい商品とイマイチな商品のブレの出方は概ね先程の特徴を前後させたようなものが多いと感じています。

酒蔵の甘酒でイマイチな商品は、香りが少ない又は変な癖があり、どっしり感がないため甘味が少ないと味わいが足らず、薄いと感じる商品がそれにあたります。

味噌屋・醤油屋の甘酒でイマイチな商品は、香りに癖があり過ぎ、雑味が多くどっしりとし過ぎで、まるでドロドロのパンやサツマイモを食べているかの様な強い癖のある味である場合です。

 

【市販甘酒レビュー】

酒蔵の甘酒

醤油屋の甘酒

味噌屋の甘酒

 

麹屋・酢屋・漬物屋の甘酒の特徴

この業界は、実は品数が少なく、パターン化し辛い業界なのです。

しかし、その中でも特に麹屋の甘酒は、麹の香りが非常に立ち、味はストレートでコクのある甘さから、どっしりとした強い甘さの商品まである感じがしますので、酒蔵と味噌屋・醤油屋の中間的な立ち位置と考えていただければいいかと思います。

 

【市販甘酒レビュー】

麹屋の甘酒

酢屋の甘酒

漬物屋の甘酒

 

まとめ

勿論、各業界ごとに完全にこの枠に当てはまるわけではありませんし、当然、業界の枠を超えた美味しい商品が存在しますので、あくまでその傾向がある程度に捕らえていただければいいかと思います。

 

また、バランスのブレからくる美味しさの捉え方は、人それぞれなので、必ずしも僕がイマイチだと感じるものが、皆のイマイチに該当するわけではありませんが、20年以上甘酒を造り続けて様々な商品を飲んできた自分が思うに大きく評価がぶれることは少ないのではないかと見ています。

 

それはなぜか…?

食品は味、香り、食感の強弱と濃淡のバランスが非常に大事で、バランスが悪いなと感じると、やはり美味しいという感覚から遠ざかるものです。私たちの感覚器官はそれぞれ感じ方が異なりますが、人間の機能である以上、その仕組みはみんな共通だからです。

 

僕のサイトでは、甘酒を造っている業界に着目した各企業の商品レビューを作っていますので、各商品の詳細はそちらを参照していただければと思います。そして、この記事が、読んで頂いた方の美味しい甘酒ライフの役に立っていただければ嬉しく思います。


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